とある数学徒の雑記帳

数学の勉強してます。日々、気になったことを適当に書き綴っています。

最大の素数更新!

最近、最大の素数が新たに更新されたそうで以下のブログでも紹介されています。

integers.hatenablog.com

今回の記事ではこの最大の素数に関連した話をしていこうと思います。

今回見つかった最大の素数

今回見つかった最大の素数

2^{74207281}-1

という数でおよそ2千万桁の数字です。

メルセンヌ素数という2^n-1という形で表される素数です。

メルセンヌ素数について

メルセンヌ素数について次の命題が成り立ちます。


(命題) 2^n-1素数ならばn素数である.


(証明) 対偶「nが合成数ならば2^n-1も合成数である.」を示す.
nが合成数ならば,ある素数aと整数bを用いてn=abと分解できる.
このとき

2^n-1=2^{ab}-1=(2^a)^b-1=(2^a-1)(2^{a(b-1)}+2^{a(b-2)}+ \dots + 2^a+1)

と変形でき a素数であるから a \geq 2なので 2^a-11ではない.
よって2^n-1は合成数である.

(証明終わり)


逆が成り立たないことは 2^4-1=15から分かります。

メルセンヌ素数完全数について

完全数とは次のような数です。


(定義)約数の総和が元の数の2倍になっているとき,その数を完全数という.


完全数には次のような数があります。


(例)[完全数] 6,28,496,8128, \cdots


メルセンヌ素数完全数は次のような関係で結ばれています。


(命題)2^n-1素数ならば, 2^{n-1}(2^n-1)は偶数の完全数である. また偶数の完全数はこの形に限られる.


(証明) 2^n-1素数とする.2^{n-1}(2^n-1)の約数は,

1,2, \cdots ,2^{n-2},2^{n-1},2^n-1,2(2^n-1), \cdots ,2^{n-1}(2^n-1)

である.これらの和は,

 \displaystyle{\sum^{n-1}_{k=0}2^k + (2^n-1)\sum^{n-1}_{k=0}2^k}=2^n \sum^{n-1}_{k=0}2^k = 2^n(2^n-1)

となり元の数の2倍となっている. したがって 2^{n-1}(2^n-1)完全数である.


逆に Nを偶数の完全数とする. n自然数, Kを奇数とし, N=2^{n-1}Kとあらわす.

このとき Nの約数の総和 S_NKの約数の総和 S_Kを用いて次のように表される.

S_N=(2^n-1)S_K

N完全数なので S_N=2N=2^nKだから

2^nK=(2^n-1)S_K

が成り立つ. 2^n-1は奇数なので, S_K2^nで割り切れる. kを整数として

S_K=2^nkとおき上式に代入すると

2^nK=(2^n-1)2^nk

これより, K=(2^n-1)kが得られる.

k \neq 1とすると, 1,k,(2^n-1)kKの約数となる.このとき

S_K \geq 1+k+(2^n-1)k = 2^nk+1 =S_K+1

となり矛盾する. したがって, k=1であるから

K=2^n-1であり,S_K = 2^nであることから K素数である.

以上より偶数の完全数 NN=2^{n-1}(2^n-1)と表される.

(証明終わり)


上で示したことからメルセンヌ素数と偶数の完全数一対一に対応することが分かります!

すなわち、完全数を見つけるためにはメルセンヌ素数を見つければよいし、メルセンヌ素数を見つけるには完全数を見つければよいことが分かります。

未解決問題について

今回最大の素数として発見された素数メルセンヌ素数ですが、このメルセンヌ素数は無限にあるかどうかわかっていません。すなわち偶数の完全数が無限に存在することもまだ証明されていません。

また、奇数の完全数も未だに発見されていません。

さらにさらに、約数の総和が元の数の2倍に1を足した数になる数を準完全数と言いますが、準完全数もまだ発見されていません。


このように、定義自体は簡単に理解できるものでも無限にあることやそもそも存在が分かっていない数が他にもたくさんあります。改めて数の不思議さや奥深さというのを感じさせられます。

それでは今日はこの辺で。